今は懐かし、epを知る

アナログテレビが懐かしくなる

今のテレビ業界は完全にデジタル放送へと移行した。かつてはアナログテレビを見ていた頃が懐かしくも感じる、と言いたいのだが人間とはとてもご都合主義なので、決まって昔のことを簡単に忘れてしまいがちだ。かくいう筆者も、アナログテレビを見ている時の画面というのをよく思い出せずにいる。もしかしたらチャンネルを合わせればそれなりに映像は映るのかもしれないが、今更になって目を傷ませるアナログ放送を見る気もない。デジタル放送を導入してから一度だけアナログ放送を見たが、映像の美麗さが段違いだと理解してそっとチャンネルを戻した事を思い出す。

アナログテレビの話をするとテレビ本体についても感慨深い。今でこそ10cm程度の太さとなっている薄型テレビが完全に普及しているが、これがほんの数年前まで分厚いテレビを使っていた人も少なくないはず。完全にデジタル放送への切り替えが決まった時点で薄型テレビを買い替えた人もいたと思う、また直前まで変えないでテレビが安くなるところまで安くなったら買った人もいただろう。どっちがお得だったのかと言われると中々微妙なところだが、まだ出たばかりの頃と比べるとギリギリに買った人のほうが少なからず得はしている、かも知れない。この時値段にこだわりすぎて中古の薄型テレビを購入していたら元も子もないが、している人がいそうなのでこれ以上突っ込まないでおこう。

テレビは本当に変わった姿形もそうだが、放送内容も変化している。今では視聴者からの苦情に怯えながら無難な放送だけして、あまつさえいつも同じようなメンツばかりを集めた演者で代わり映えのない放送を繰り返しているテレビ、本当にどうしようもないほどつまらなくなって逆に面白くなったと言える。視聴しているはずの人間もドンドン視聴時間が0時間という割合も増えてきている、正直パソコンさえあれば事足りるんじゃねぇのと思っている人もいるかと思いますが、それはそれだ。中には録りたい番組もあったりするので、基本的にはテレビがないと不便なのは自分だということを忘れないように。単純にお金がなくて買えないという人は、なんとかしてください。

そんな現在進行形で絶好調衰退中(一部除く)なテレビの世界で、今は懐かしの『ep』について見てみよう。指を重ねて友情を確かめ合うアレではなく、テレビ放送としてのepについてだ。

epって

ep、この言葉を聞いたことがない人は意外と多いかもしれません、何せ10年以上前に始まったサービスで煌めきのように掻き消えた存在だからかもしれません。後付け加えると、あまりに最新すぎたことで人々に受け入れられなかったところでしょうか。この頃から今の時代では主流となっているテレビの見方として、その理想を形として表してはいたと考えると面白いものの、極端に一部マイナーな人々にしか知らないものだったのも影響しているでしょう。

簡単に概略を説明すると、このepとは衛星放送で放送されている番組を指定のチューナーに蓄積していくことにより、視聴者がいつでも好きなときに視聴できるというのがメリットとなっている。蓄積という言葉を使うとピンときませんが、要するに番組を『無差別に録画している』ことと、『一時的にチューナー内に格納している』というところだ。もっと言えば、視聴者個々人が見たい番組だけを録画してハードディスクの中に入れるのとは違い、放送されている番組すべてを対象としてチューナーへと一時的に録画する点だ。日々大量に番組が放送されているので、チューナー内のメモリー量に応じて古い記録から消去していくシステムも採用されているため、いつでもとはいうがそれでも有限性は存在している。

この時にすれば非常に画期的なシステムだ、蓄積して今は忙しいから見られないけど後からいつでも見られる状態にしてあるというのは、視聴者都合に叶ったシステムだと信じられていたのかもしれません。それが間違いだと気づくまでに時間がかからなかったからこそ、数年足らずでサービス終了の憂き目に遭遇してしまったんですけどね。

この放送については大手企業が何社も協力体制を取っていたことも有名な話なので、その辺のところも見て行きましょう。

epが出来上がるまで

epの放送に尽力したのは、当時はまだ松下電器産業と名乗っていたパナソニックで現在憂き目にあってスキャンダルネタでしかファンを引くことが出来ない元歌姫をCMに起用していたことも記憶に新しい。また粉飾決算で揺れに揺れ動いている東芝も協力していた。そういえば自分のしたことをまるで気にしないであざとく金儲けをしているホ○○モンが、東芝の事件を受けて逮捕されないなんておかしいだろうと文句を言っているようだが、そんなの関係ないだろうとツッコミを入れたくなる。

他にもソニーや日立といった計14社が共に立ち上がって、eプラットフォーム設立準備会を発足させたところから華々しい歴史が始まると期待されていた、のかもしれないがそんなのはすぐに霞へと消えていった。それから色々あってイーピー株式会社として存続することになりましたが、会社設立と共にソニーが株主から撤退し、epサービスに関する特許についても譲渡していました。この時誰もがソニーの行動は懸命だったと後悔した企業も少なくはないかもしれませんね。ただソニーが株主としてその権利を手放したのにはもちろん事業として成功が見込めないところにもありましたが、epの歴史において一番の失敗といえるのが、2002年に放送されたワールドカップの時に遡る。

間に合わなかった

epとして、ワールドカップという超弩級のイベントを見逃すことなどありえなかった。この年のワールドカップは特に注目を集めていたといえる年でもあり、誰もが興奮の渦に巻き込まれただろう。そこでepのサービスが始まってリアルタイムでサッカーを視聴できない人々のためにと考えられていましたが、ワールドカップ開始となる2002年5月までに放送ステーションとなる『epステーション』の製造が間に合わなかった。

サービスが正式に始まったのは2002年7月のこと、この時には既にサッカーも日本勢が負けてしまったので熱は冷めてしまった。一部熱狂的なファンにすればまだまだこれからというところでもあったかもしれませんが、イーピーにすれば大誤算であり最大の失敗であり汚点とも言われています。こればっかりはしょうがないといえなくもないですが、計画性がなかったのかもしれませんね。

無駄に期待されていただけに

イーピーなんて大したことないじゃないか、などと言われるまで時間を要することはなかったのでしょう。当時こそ資本金が50億という破格すぎるスタートを切っていただけに、協力体制をしいていた大手企業も成功間違いなしと見込んで投資した。ただソニーに続くようにと、次々決して成功したとは言いがたい状況下の中で苦戦を強いられ続けた結果、サービスが本格的に開始されてから数年で存在そのものが無かったものとして扱われている。

会社やチャンネルそのものは存続しているものもあるが、会社として成功を見込まれながらも軌道に乗れなかったことは何とも言いがたい点だ。もとよりそこまで受け入れられるものでもないだろうということは、何となく誰もが薄々と気づいていたかもしれないが。